第一測工株式会社の 挑戦と実績 の一例をご紹介します。
令和5(2023)年4月18日 日本工業経済新聞のインタビュー記事より
「創業、5代目社長」
第一測工株式会社は、2023年に 創業71周年 を迎えました。アメリカGHQから日本が独立を回復したのが昭和27(1952)年4月28日、弊社はその2週間後、 昭和27(1952)年5月12日 に会社を設立しました。北関東で一番最初に創業 した測量会社であると聞いています。創業時の会社名は、第一測地工業株式会社といいました。昭和36(1961)年6月に現在の社名に変更しました。 私、小堀俊明は、 5代目の社長 になります。平成12(2000)年3月に入社し、3年後の平成15(2003)年4月に代表取締役に就任しました。
「農業土木コンサルティング」
業務内容は、一般的な測量・設計・地質調査のほかに、農業土木コンサルティング、空間情報コンサルティング、情報システム開発技術を有しているのが特徴です。 農業土木コンサルティング は、熟練の経験とノウハウの蓄積が必要で、主任技術者になるには10年程度を要します。農業土木に関する資格がいくつかありますが、弊社には農業土木技術管理士、土地改良補償士、農業農村地理情報システム技士、土地改良補償業務管理者などの資格者がのべ17人います。これは、特に農業分野だけに注力してきたわけではなく、必要に応じて技術を継承してきた結果です。
「空間情報コンサルティング」
空間情報コンサルティングは、簡単に申しますと、従来の測量が進化して空間全体をデジタル化するようになったということで、3次元計測 など測量の最新技術を駆使して行うものです。弊社では、18年前 の平成17(2005)年にフランス製のGS-200という 地上型3次元レーザスキャナ を導入しました。近隣県でもまだ普及していない段階で、3次元レーザ計測とはどういうものかを一から説明させて頂きながら各地で業務を受注させて頂きました。一番遠いところでは 沖縄県 で3次元計測業務を行いました。3次元計測は、現場での計測もノウハウが必要ですが、それよりも成果作成の内業がとても大切です。現場の空間をスキャニングしてミリ単位の精度で点群データや図面を作成するためには何度も失敗しながら技術を習得し相当長い年月を要します。経験が浅い人たちでも、形だけはできているようにも見えてしまうのが怖いところです。この3次元レーザ計測の実績は、レーザドローンなどにも役立っています。栃木県からは、これに関連して「地理情報システム(GIS)と3次元測量によるG空間情報技術」として フロンティア企業認証 を頂いています。
「情報システム開発技術」
情報システム開発技術 は、測量設計会社には必要ないと思われているかもしれませんが、私たちは、20年以上前 から取り組み、一定の成果を上げています。主に地図や図面をメイン基盤とする 地理情報システム開発 になりますが、当初は、役所の業務支援システム、例えば、河川維持管理システムや固定資産管理支援システムなど様々な業務に対応したシステムを納品させて頂きました。詳しくはホームページに掲載していますが、民間では銀行の営業支援システムなどの実績もあります。この技術は、プログラマーなどが有する開発技術だけでなく、デジタル地図を扱うので世間ではあまり技術者が多くないと思います。また、将来はネットワークに対応する情報システム開発技術 が必要になると考え、18年前 の平成17(2005)年から並行して研究してきました。ネットワークが絡むと全く違う技術が必要になるので戸惑いましたが、国土交通省国土地理院が発注する 基盤地図情報ダウンロードサイト改良業務 を受注して納めることができるまでになりました。改めて振り返ると、ネットワーク環境でのシステム開発技術やデータ処理技術は、今まさに必要な技術だと思います。国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化 プロジェクト PLATEAU(プラトー)は、宇都宮市でも活用が進んでいますが、これを扱うには 3次元計測技術だけでなく、システム開発技術、ネットワーク関連技術、デジタル図面を扱う技術、大量データを処理する技術など様々な技術 が必要になります。弊社は完ぺきではありませんが、この技術を有しています。現在は、国連でも提唱している大容量のデジタル地図を瞬時に表示する技術、しかも安価に抑える技術の習得に取り組んでいます。
「CSR活動、まちづくり支援事業」
会社は、存在価値がないと長続きしないので、CSR活動にも力を入れています。まちづくり支援事業として19年前 の平成16(2004)年から「宇都宮市中心市街地空き店舗情報システム」を運用し、中心市街地の活性化に微力ながら関わっています。SDGs なども早くから取り組みまして、「スギの木チャレンジプロジェクト」という環境活動は、他県の学生や他業界の団体等からもお問い合わせを頂いています。9年前 の2014年には、カーボンオフセット という地球温暖化対策の証明書を頂いたこともあります。また、 SBT(Science Based Targets、科学と整合した目標設定) という制度があるのですが、今年中の認定取得に向けて準備しています。
「社内体制、新しい制度の導入」
弊社の企業理念は「社員幸福の追求と快適な国土づくりへの貢献」です。働き方改革とはいいませんが、社員の働き易さは常に考えています。17年前、まだ「こんなことして大丈夫かな」という時代に、ノー残業デイと時間単位の有給休暇取得を制度化 しました。コロナ禍で中断しましたが、ただ単に視野を広げて皆で幅のある人間になるために、社員旅行では毎年 海外 に飛んでいました。社員の中では銀座に行ったことがなくてもローマに行ったことはあるという人もいました(笑)。こういった積み重ねは人間形成にとても大事なのではないでしょうか。旅は脳にも非常に良いといいます。社員の老後を考えて、企業年金基金にも加入しています。私はそこで、選定代議員をやっています。
私の社員に対する思いは、やりがいを持って長く働いてもらいたい、この会社で家族を守るために頑張ったんだと、将来思ってもらいたい、それだけです。この春には、大卒の新入社員3人が入社してくれました。来年分も順調に採用活動を進めていますが、若い人材も仲間に迎え、顧客である発注者の方々にも安心していただけるよう オール第一測工 で頑張っていきたいと思います。
【プロフィール】
小堀俊明(こぼり・としあき)=1965年10月27日 東京都生まれ 57歳。
1987年 皇居前パレスホテル入社
1992年 アメリカ系旅行会社に入社
2000年 第一測工に入社
2002年 国土交通省GIS実証実験に単独参加
2003年 第一測工 代表取締役に就任
2004年 プライバシーマーク認証取得(業界全国11番目)
2006年 NPO法人全国G空間情報技術研究会 関東中部エリア事務局長に就任
2008年 地域活性化プロジェクト「うつのみやマップ」始動
2012年 国土交通省G空間エキスポ Geoアクティビティーフェスタ プレゼンター
2014年 一社)関東土地改良測量設計技術協会 理事就任
2017年 そくりょう&デザイン企業年金基金 選定代議員就任
2018年 SDGsスタート 審査にパスし外務省ロゴ使用を開始
2019年 宇都宮商工会議所 常議員就任