私の将来のビジョンは、1ヶ月連続休暇を取れる会社にすることです。
20才の頃にフランクフルト行きの飛行機の中で、隣の座席に偶然座ったオーストラリア人の男性と話しをしました。
彼「どこに行くの?」
私「デュッセルドルフに人を尋ねて行くんだ。」
彼「へー、どのくらい?」
私「 土日から土日までフルに使って9日間だよ。その前に夜勤までして何とか休みが取れたんだ。」
彼「えー、たったそれだけかい?信じられないね。」
(あの時、彼は確かに、私にunbelievable!と言った。)
私「そう?これでも長い方だよ。じゃあ、おじさんはどこに行くの?」
彼「(指を三本立てて・・・)休みはスリーマンスだよ。その間に1ヶ月間、オランダの母親の農場を手伝いに行くんだ。」
私はこの会話をずっと忘れなかった訳ではありません。その時に率直に感じたことは、「国が違うんだから仕方ない。」・・・とそれくらいの感覚でしかありませんでした。
それから私は、社会生活を続けていくうちに、
“長期休暇ほど、欲しいが手に入らないものはない。” と実感しました。
これを聞いて、「何をバカなことを言っているのだ・・・。」とお思いになる方もいらっしゃるでしょう。確かにそうなのかもしれません。しかし、この考えは、当社の「やる時はやる。休む時は休む。」という方針のゴールなのかもしれません。
10日間あればできることと、1か月間あればできることは全然違います。出来ることの内容や可能性も違えば、リセット効果も違うでしょう。
例えば私は、将来に妻と二人で「日本再発見の旅」をしたいと思っています。美味しいものを食べ歩きながら、温泉に入ったり、お参りしたり、観光したり、死ぬ前に故郷である日本を全部見るのです。価値観は人それぞれなので、人によっては集中して何かに取り組んだり、何も考えない期間として使ったり、と過ごし方は何でもいいと思います。何のために働いているのかといえば家族のため、生活のためですが、それだけではなく色々な経験をして見識を広めたり、楽しんだり、何かに挑戦したりすることも必要です。充実した時間を持てるからこそ、人のため世のためになることが出来、仕事にも打ち込めるのではないでしょうか。
私は過去に経験がありますが、1か月間、ダラダラと自由に過ごすと飽きます。自分が腐っていく感覚に襲われます。おそらく人間はじっくり考える時間があると
「今の自分はこれでいいのか。→時間を無駄にしたらもったいない。→何かに向けて頑張りたい。→それは何だろう。」と自然と充実した人生を送る方向に導かれるのだと信じていますから、誰にとっても1か月間は無駄にはならないと思っています。
1か月間の休暇のために毎日頑張る。それでいいと思います。
もちろん甘い世の中ではありません。生活を維持するだけでも簡単なことではありません。現在、当社社員のみなさんは、文句一つ言わずに自主的に賢明に働いてくれています。このご恩に報いる為にも、私はやります。会社が一体となり高い価値観を共有することができれば、実現できると思っています。
(2003年5月1日)