地質調査
地質調査部門
第一測工の地質調査部門は、建設事業分野において企画立案から維持管理までに実施される地質調査に従事しています。
地質調査は、地質、土質、基礎地盤、地下水など地下の不可視部分について、地質学、地球物理学、土質工学などの知識や理論をベースに、地表地質踏査、物理探査、ボーリング、各種計測・試験などの手法を用いて、その「形」、「質」、「量」を明らかにすることです。
第一測工の地質調査部門は、本社1階に「土質試験室」を有し、地質調査技士などの資格を保有する技術者が業務に従事します。
栃木県をはじめとする公共事業にお世話になっていますが、昨今の地質リスクの増大を認識し、長年培った技術とノウハウにより地域の安全安心に貢献できればと考えております。
“ジオドクター”としての地質技術者の役割
私たちの住む日本は、地震災害や豪雨災害などの自然災害が多発する環境にあります。このような災害に対する防災は極めて重要であり、私たち地質に詳しいジオドクター(長年の経験と地質技術のノウハウを持つ日本列島の地盤の主治医。医者:診察→診断→治療→定期検診、予防。ジオドクター:調査→解析・評価→対策の提言→維持管理、防災)が活躍できる場面が多くあります。それは、発生する自然災害が地元住民に与えるリスクの大きさが、その地域の地形や地質に大きく依存しているという事実があるからです。地域ごとにどのようなリスクが存在し、どう対応するべきか、その地形・地質・地盤を調査することで判断し、住民の安全に貢献することも私たち地質技術者の大きな役割の一つです。
地質リスクの増大
自然災害に対するリスクのみならず、工事に伴い予期せぬ地質に遭遇して事故や工費増大を招くようなリスクもあります。このような地質に関係したリスクは“地質リスク”と呼ばれています。我が国の場合、諸外国と比べて地質リスクが大きいのが特徴です。それは、元々の性質である素因として地質の複雑さがります。モザイク状に見える地質図は欧米に比べはるかに複雑で、断層も多いことが知られています。さらに外力である地震・豪雨・火山などが誘因として作用して災害を引き起こします。地震も世界で起こるマグニチュード6以上のうち20%が日本に集中していることや、ゲリラ豪雨が年々増えているという事実もあります。((社)全国地質調査業協会連合会「日本ってどんな国 豪雨から国土を守る」より抜粋)。当社は、一般社団法人栃木県地質調査業協会に加盟し、会員が相互に協力して、地質リスクを未然に防ぎ地域貢献するべく活動しています。
第一測工の主な地質調査業務
調査の第一段階は、事前調査です。計画立案に際し、総合的に地山状況を把握する必要があります。文献資料や調査地域の地形図、地質図、航空写真、過去の記録などを収集し、調査手法の判定や問題点の抽出を行います。
次に現地調査です。現地調査は多岐に渡りますが、現地では地表踏査や物理探査、直接地層から試料を採取するボーリング調査、物理検層やサウンディングなどの原位置試験や載荷試験などを行います。
現場から帰ってきて本社1階にある土質試験室では、CBRやサンプリングなどの必要な力学試験などを行います。土質試験室からは土を突き固めする音が聞こえてきます。
こうして最後段階では、3階のデスクにて、一連の調査結果を整理し、個々のデータ評価や整合性を検討し、地質柱状図や平面図、断面図などの図面類を作成します。すべてのデータが整理・分析された後、調査目的に応じた解析・判定を行います。最後に報告書を作成して成果品として発注者に納品します。
- 机上調査
- 文献資料調査、地山状況の把握、調査手法の判定、問題点の抽出
計画立案に際し、総合的に地山状況を把握するため、文献や資料を調査します。
調査地域周辺の地形図、地質図、地盤図、土地利用図、航空写真、地図類、写真類、調査報告書、工事記録,災害記録,地質文献などの既存の資料を集め、調査の効率的な実施と解析・判定を行う際の参考資料とします。
- 現地調査
- 地表踏査、物理探査、ボーリング、試掘坑、原位置試験、物理検層、サウンディング、載荷試験、動態調査、試料採取
地表踏査で、計画地域の地質・土質・地盤等を把握し、地形や転石などを観察・計測し、計画地域の地質図を作成します。
物理探査で、地表面から地下の地質構造を探ります。
ボーリング調査で、地層から試料を採取して直接的に色、岩質、硬軟、割れ目の程度を把握します。土質試料や岩盤のコアを採取し土質試験や岩石試験を行います。
原位置試験では、計測機器を用い地盤の物理的・力学的な性質を測ります。物理検層は、ボーリング孔を利用して孔壁周辺の地層の物理的性質を調べることをいいます。サウンディングでは、ロッドにつけた抵抗体を地中に挿入し、貫入、回転、引き抜きなどの抵抗から土層の性状を探査します。載荷試験で、基礎の沈下と支持力の検討を行います。その他いろいろな試験・計測があり、調査目的により適宜組み合わせて実施します。
動態調査では、軟弱地盤上での盛土施工観測、地すべり観測、地下水位観測などを行います。
- 室内試験
- 物理試験、力学試験、化学試験
現地で採取した試料は、社内の土質試験室で、物理試験・ CBRやサンプリングなどの力学試験・化学試験などの土質試験・岩石試験を行い、その性質を明らかにします。
- 解析・判定
- 地層のモデル化、物性値モデル化、問題点の抽出、対策の検討
調査結果を整理し、個々のデータの評価や整合性の検討をし、地質柱状図や地質平面図・断面図等の図面類を作成します。
すべてのデータが整理・分析された後、調査目的に応じた解析・判定を行います。その主な内容は、地層及び土性の判定、土質及び地盤定数の決定、対象構造物に対する調査結果の検討、設計・施工の留意点などです。
解析・判定等の業務が終了すると、報告書を作成します。これが発注者への成果品となります。